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2009年12月25日金曜日

薩摩藩出身の明治初期の実業家・五代友厚(ごだいともあつ)氏の言葉

 「人と己の論(意見)、五十歩百歩なる時は、必ず、人の論を賞(ほ)めて採用すべし」と。
 明治5(1872)年正月、五代友厚が、旧知の大隈重信に提出した「諫言五カ条」の一文(第二条)です。12月25日付の産経新聞に掲載されていました。
 「諫言五カ条」にはほかに、「愚説愚論を聞くことに能く堪えるべし」(第一条)、「怒気怒声を発するはその徳望を失する原因なり」(第三条)、「事務を裁断するには、その勢の極に迫るを待ってこれを決すべし」(第四条)、「己がその人を忌む時はその人もまた己を忌むべし。故に己の欲さざる人に勉(つとめ)て交際を弘められん事を希望す」(第五条)とあります。さらに、五カ条の前には、「閣下の恩恵を蒙(こうむ)る者は恐らくその美を挙げて、その欠点を責むる者なかるべし。今、友厚は従来の鴻恩の万分の一を報ぜんため閣下の短欠を述べて赤心を表す。閣下、高明、失敬を恕(じょ)せよ(=許せ)」と。
 伊藤肇氏の「喜怒哀楽の人間学」(昭和53年の著作)によると、「大隈重信という人物は、烈しい覇気と闘志との持主であったにとどまらない。性格において極度に外向的、外発的で自己主張に甚だ急であった。これは支配への根強い欲求に通ずる。そして、このような性格は他面からいい直せば、自己に沈潜し、内面的充実をはかることに意を用いず、情操に乏しく、散文的であった。これは自己の才気を恃(たの)む者にしばしば見られる一つの性格である。五代はそこのところを戒めたのである」と解説されています。
 熱い言葉として心に響きました。

wrote by m-hamada : 2009年12月25日 22:49