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2013年12月10日火曜日

臨海部の活性化を! 中小企業支援を! (代表質問)

 12月10日の川崎市議会本会議で、公明党は新市長に対して初めてとなる代表質問を行いました。質問者は、公明党川崎市議団団長を務めている高津区の後藤晶一議員で、20を超えるテーマについて、市長の姿勢を質しました。
 その中の川崎臨海部の活性化策と中小企業の振興策について報告します。


 川崎臨海部を盛り上げよう!

 平成23年7月に実中研・再生医療・新薬開発センターが運営を開始してから2年半がたち、KING SKYFRONTは国の特区に指定されるなど、日本全体の成長拠点となっていることから、これからも重点的な取り組みを継続すべきと主張。市長の見解と取り組みを問いました。
 また、国家戦略特区についても本市の提案が通るよう国へ積極的に働きかけるべきことから、市長の取り組みを聞きました。
 さらに、市長が「市内の企業と東南アジアなどを結び、海外と連携して産業を振興することも重要な戦略である」と言ってきたことから、具体策を問いました。
 2020年の東京オリンピック開催をにらみ、JR東日本が東京都心と羽田空港を結ぶ新路線として東海道貨物支線の活用を検討しているとの報道があったことを受け、東海道貨物支線はKING SKYFRONTのアクセス向上にも役立つ路線であり、県も羽田空港国際化や国際戦略特区という環境変化により貨客併用化を再検討しているとの報道があったことを指摘。本市も東海道貨物支線の貨客併用化を推進すべきと主張し、市長の見解と対応を質しました。
 関連して、東京オリンピックでの市内施設の活用についても問いました。
 市長が就任の翌日、首長外交の第一歩を大田区長との会談からスタートさせたことを踏まえ、臨海部の発展を見据えた上で重要な会談であったと考えられることから、県、横浜市よりも早く大田区長と会談した理由と会談内容について質問しました。
 大田区との協定では観光での連携も重要であることを指摘し、今年、外国人旅行者が初めて年間1,000万人を超える見込みであることから、今後どのように観光施策を進めていくのか、具体策を問いただしました。

 答弁として市長は、KING SKYFRONTについては、「本市ではこれまで高度なものづくり技術や立地優位性など本市の持つ特徴と強みを生かし、ライフサイエンス分野などに関連する機能の集積と新産業の創出を目指し、総合特区制度を活用しながらKING SKYFRONTにおいて国際戦略拠点の形成に取り組んでまいりました。これまでの取り組みを通じて、実中研、国立医薬品食品衛生研究所、仮称ものづくりナノ医療イノベーションセンターやグローバルに事業を展開している民間企業など、ライフイノベーションを牽引する機能の集積が順調に進んできていることを実感しているところでございます。今後もグローバルな視点に立って国際戦略拠点の形成を進め、超高齢社会における課題の解決に貢献するとともに、地域経済の活性化や我が国経済の持続的な発展につながる取り組みを進めてまいりたい」と答えました。
 次に、国家戦略特区の指定に向けた対応については、「本市では、本年9月に健康寿命の延伸や医療・ヘルスケア産業の振興を目指し、早期診断技術の開発、再生医療の実用化促進などの提案を神奈川県、横浜市と共同で行ったところでございます。さらに、水素社会の構築に向けて、地域水素ネットワークの構築や水素エネルギーの活用などの取り組みにつきましても、世界最先端の水素の大量貯蔵・輸送技術を有する千代田化工建設株式会社と共同で提案を行ったところでございます。本市としては、これまでも本提案の重要性や先進性について国に対してアピールしてまいりましたが、今後さらに積極的に国に働きかけてまいりたいと考えております」と答弁しました。
 市内企業の東南アジアへの展開に係る支援等については、「成長著しいアジアを中心とした海外での販路開拓が市内企業にとって大きな課題と認識しています。本市では、本年2月にLiSE内に川崎市海外ビジネス支援センターを開設し、市内企業の海外展開に関するステージに合わせた支援を行っているところでございます。市内企業の進出ニーズの高いタイについては、本年11月に投資セミナーを開催し、来年1月にはバンコクにおいて商談会を開催するとともに、ベトナムではホーチミンにてベトナム人若手技術者に日本のものづくり技術を教育するプロジェクトをことしから3年間の予定で実施していきます。今後ともジェトロなど関係機関と連携し、KOBSのコーディネーターの個別具体的な支援により、市内企業の海外展開を積極的に支援してまいります」と約束しました。
 東海道貨物支線の貨客併用化については、「本路線は京浜臨海部の活性化や羽田空港へのアクセス向上などが期待でき、国際戦略総合特区を活用したまちづくりが進む中、広域鉄道ネットワークを形成する重要な交通基盤になると考えております。一方で、関係自治体等で構成する協議会では、採算性の確保、貨物列車との運行調整など多くの課題があるとの認識が共有されているところでございます。今後の実現に向けては、東京オリンピック・パラリンピックの開催やJR東日本による新路線の検討など新たな環境変化や臨海部の土地利用動向などを注視するとともに、今後、関係自治体と連携を図りながら、国や鉄道事業者など関係者と積極的に協議検討を進めていきたいと考えております」と答えました。
 オリンピックにおける市内施設の活用については、「11月に開催されました第64回九都県市首脳会議におきまして、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向け、大会組織委員会などと連携を図りながら総合的に支援・協力することが確認されており、九都県市ではそのための組織の設置など検討することとしております。本市といたしましても、今後設置される支援組織に参加し、市内のスポーツ施設への誘致などにつきましては、どのような協力がスポーツの推進に効果的であるかなど、検討を進めてまいりたいと考えております」と答弁しました。
 大田区長との会談については、「本市と大田区は、高度な技術や技能を有する中小企業やグローバル企業が集積し、日本の産業をリードしてきたものづくりのまちとしての歴史を共有しており、このような産業集積を生かすことが、両地域だけでなく、首都圏の発展にも必要不可欠と考え、真っ先に御挨拶に伺ったものです。松原区長とは、産業連携に関する基本協定に基づき、企業間の交流促進によるものづくりの連携を図っていくだけでなく、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区とアジアヘッドクォーター特区との特区間連携や、さらには隣り合う自治体同士として、商業や観光の面においても交流・連携を図っていくことを確認いたしました」と答弁。
 続けて、大田区との観光分野における連携については、「産業連携に関する基本協定に基づいて、ふだんは見ることが難しい大田区の町工場の作業工程を見学できるオープンファクトリーやカワサキハロウィンなど、両地域をめぐる産業観光ツアーの企画、商品化を行ってきたところです。今後は、東海道かわさき宿交流館を活用して、旧東海道にスポットを当て、品川宿から大田区を経て川崎宿に至るウオーキングイベントの開催や、両エリアの飲食店や銭湯をめぐるイベントなどを実施していきたいと考えております。さらに、外国人観光客につきましては、羽田空港国際線ターミナルに設置している観光情報コーナーでの魅力の発信や、海外の旅行会社やメディア関係者の招聘などを行い、誘客に努めているところです。今後も、川崎市観光協会を初め、鉄道事業者や市内の商業施設、宿泊施設などの観光関連事業者などと連携し、官民が一体となって本市と大田区両エリアの観光資源を、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も見据えて、国内だけでなく海外にも積極的にPRしてまいります」と約束しました。


 市内中小企業を支援しよう!

 中小企業支援について、市長は市長選の公約で、「市内事業者を大切にする、アジアの一等地である川崎の価値を高めていく」と掲げたことから、具体策を明らかにするよう迫りました。
 また、「市政への考え方」の中では、「市内の中小企業の間でベンチャービジネスを起こしたり、新たな技術開発を行ったりすることが重要だ」と述べたことを受け、具体的な施策を問いました。
 さらに、本市はこれまで、かわさき福祉産業振興ビジョンの策定、福祉製品の認証制度「かわさき基準」の創設、ウェルフェアイノベーションフォーラムの設立と福祉産業の育成を着実に進めてきたことを示し、この流れをしっかりと継承し、福祉産業の発展に取り組むべきと主張。市長の見解と対応を質しました。

 答弁として市長は、初めに、市内事業者を大切にすることについて、「市内の多くの中小企業はすぐれた基盤技術や製品開発力を有しており、川崎の産業だけでなく、日本のすぐれたものづくりを支えております。こうした中小企業を大切にしていくことは、本市の産業の発展にとって重要なことと考えております。本市ではこのような企業を支援する取り組みの一つとして現場主義を掲げ、市の職員が、国、県、産業振興財団とともに企業訪問を行い、助成金や支援制度の紹介、販路拡大や新事業展開への支援を初めとしたさまざまな経営課題解決のための支援を多面的に行っています。さらに、すぐれた中小企業の製品などを川崎ものづくりブランドとして認定し、市が積極的に発注する仕組みを整えており、このように中小企業に寄り添った支援をより一層充実していきます」と答えました。
 次に、アジアの一等地である川崎の価値を高めていくことについては、「川崎国際環境技術展などを通じて環境技術による国際貢献に係る取り組みを強化してまいります。今後は、ジェトロなど関係機関とより一層連携した海外展開支援を進めるとともに、海外の展示会などへの積極的な参加を通じて、世界における川崎市のプレゼンスを確立していきたいと考えております。今後さらにさまざまな課題やニーズに応じたきめ細やかな支援を行い、中小企業の活性化に取り組んでまいります」と約束しました。
 ベンチャービジネスや新たな技術開発については、「川崎は世界でも最高水準のすぐれた技術を持つ企業が集積する都市です。こうした市内企業のポテンシャルを生かし、次から次へとベンチャービジネスや新たな技術が生まれることが、経済の持続的な成長を図る上で大変重要であると考えています。起業を目指す皆さんの意欲を高める取り組みや、すぐれたビジネスプランを持つベンチャーの資金調達、販路開拓を支援し、ビジネスしやすい都市づくりを進め、川崎の地からすぐれたベンチャーを数多く生み出していきたいと考えています。また、新川崎・創造のもりを初めとする日本有数の産業支援拠点を生かした市内中小企業、ベンチャー企業が大企業や大学とも力を合わせて技術開発に取り組む場の提供や、中小製造業の新たな技術開発への助成など、成長意欲のある企業の支援に取り組んでいます。さらに、本市では、大企業の開放特許を活用して中小企業の新製品開発などを支援する知的財産交流会を行うとともに、市域で活動する研究者が組織や専門分野を超えて交流するかわさき科学技術サロンを開催するなど、大企業等の研究機関や技術力のある中小企業の集積を生かして、川崎発のイノベーションを活性化する取り組みを積極的に展開しています。このような意欲のある中小企業、ベンチャー企業を支援する取り組みをより一層推進することで力強い産業都市川崎をつくり、日本、ひいては世界の人々の幸福に貢献していきたいと考えております」と答弁しました。
 福祉産業については、「川崎が日本で最も幸福なまちになるためには、お年寄りや障害者を初め、誰もが健康で安心して暮らせることが大切であると思います。そのためには、生き生きとした暮らしを支える製品やサービスを生み出し、必要なときに使える環境を整えることが重要であると考えています。こうした中、川崎市では従来から福祉産業の振興に努め、安心いきいき社会の実現に向けた取り組みを行ってきましたが、この取り組みを強化するために、本年10月には福祉と産業をつなぐネットワーク形成の場としてウェルフェアイノベーションフォーラムを設立しています。これからはこのフォーラムを活用し、かわさき基準の普及啓発、新たな福祉製品、サービスの創出と活用、国際貢献の推進などについて多数のプロジェクトを創設し、参加いただいた企業、団体の皆様とともに進めていきたいと考えております。このことは力強い産業都市と安心のふるさとの実現に大きく寄与すると考えておりますので、今後もより一層の発展に努めてまいります」と答えました。

 

wrote by m-hamada : 2013年12月10日 21:22