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2009年01月22日木曜日

「産経抄」を35年にわたって書き続けた石井英夫さんの言葉

 「短く書く、鋭く書く、素直に書く。これをすれば、文章がうまくなるのではないかということを、自分に言い聞かせました」と。
 文章がうまくなる方法があるのか、教えてくれとよく言われました、と前置きしてから、野球の話をしています。
 「東京オリンピックの前の年、昭和38年に1年間だけサンケイスポーツにいたんです。いまはない巨人軍の多摩川球場に取材に行ったことがあります。牧野茂さんという守備の名コーチが、新人にバッティングを教えていました。『王や長嶋だったら相手ピッチャーは、魅せられたように、やつらの好きな球を投げてくるんだ。だけど、おまえたちは違う。とにかく徹底的にボールを選べ』と教えていました。狙い球を絞って、ジャストミートするんだと。それには3つのコツがあるから、徹底的に覚えとけというんです。バットを短く振れ、鋭く振れ、素直に振れ-と教えている。この3つを叩き込んでジャストミートすれば、球は必ず野手と野手の間を抜いていくって。それを聞いて、こうすれば文章がうまくなるということと同じではなかろうかと(思った)」と。
 違う話をされているようで、きちんと文章の話に結びつく。興味深く、面白く、わかりやすく話してくださることに、話術の達人でもあるのだなと思いました。

wrote by m-hamada : 2009年01月22日 21:04