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2010年01月27日水曜日

岡崎久彦著『情報戦略のすべて』に出てくる言葉

 「日本経済がこれだけ大きくなると、国際貿易、国際金融に対する依存度はもっと大きくなって、戦後米国が主導して維持して来た自由貿易体制と海洋の自由なしには到底生きて行けません。更に日本が先進民主主義国の一員となったことは米国との連帯を不可分のものとしています。
 二十一世紀初頭から現在にいたるまでの国際情勢において、アングロ・サクソン協調主義が、日本外交にとって、現実主義であったことの理論的根拠としてはこれで十分と思います。」(P.73)
 「日米安保条約の時でも、中国関係をどうするという批判に対する正しい答えは、中国関係というものは日本の安全にとっては二次的な意味しかなく、日米協力の重要性とは比較にならない、ということであるべきだったのでしょう。中国を軽視するという意味ではありませんが、これが二十世紀における極東の力の構造における現実だということです。
 しかし、中国に対する特殊な国民感情ーーこれが本当の国民感情であるかの問題は議論の分れるところとしてーーが存在した日本の国内事情では、そこまで冷静な判断をすることは困難だったという事情はありました。ここに、私は、中国問題、更に広く言えばアジア主義というものが、かつて一九三〇年代もそうだったように、日本の現実主義的政策の羅針盤を狂わせる魔性を持っていることを改めて指摘しておきたいと思います。」(P.75)

 先輩にご教示いただいた部分です。
 外交における現実主義、冷静な判断の重要性、感情の問題が及ぼす影響について教えていただきました。

wrote by m-hamada : 2010年01月27日 19:35