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2010年01月26日火曜日

司馬遼太郎著『燃えよ剣』の最後の約10行

「お雪。
 横浜で死んだ。
 それ以外はわからない。明治十五年の青葉のころ、函館の称名寺に歳三の供養料をおさめて立ち去った小柄な婦人がある。寺僧が故人との関係をたずねると、婦人は滲(し)みとおるような微笑をうかべた。
 が、なにもいわなかった。
 お雪であろう。
 この年の初夏は函館に日照雨(そばえ ※晴天の日に、ある所だけに降っている雨のこと。片時雨(かたしぐれ)ともいう)が降ることが多かった。その日も、あるいはこの寺の石畳の上にあかるい雨が降っていたように思われる。」

 名文だよ、と先輩に教えていただきました。
 「こういう文章は暗記しておかないと」とも言われました。
 何回も読み返し、本当にその通りだなと思いました。

wrote by m-hamada : 2010年01月26日 17:08