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2011年04月26日火曜日

数学者・藤原正彦さんの言葉

 「(ビュッフェ形式のホテルの大食堂で)男女2人で食べているのはほとんどが夫婦で、時々、恋人同士や愛人同士がいる。夫婦の場合、余り話そうとしないからすぐ分かる。先日私の3メートルほど横に座った60代らしき夫婦は、何と朝食の30分間、唯の一言も会話を交わさなかった。黙々と食べて黙々と引き揚げた。
 夫婦の場合、たとえ会話を交わしても笑顔がないからすぐ分かる。冗談を言うのも笑うのも面倒なのだろう。恋人や愛人の場合はつまらない冗談をさも面白そうに笑っているからすぐ分かる。年格好が似ていれば恋人で、離れていれば愛人とみなすことにしている」。

 お茶の水女子大学名誉教授で、『若き数学者のアメリカ』(1977年)や『国家の品格』(2005年11月、新潮新書)の著者としても有名な、藤原 正彦さん(1943年(昭和18年)7月9日生まれ 新田次郎さん、藤原ていさんご夫妻の次男)の言葉です。4月26日付の読売新聞・夕刊の「たしなみ 聞き耳のマナー」で紹介されていました。

 大数学者がこんなにもウィットに富み、興味深い文章を書かれていることに、大変に感動しました。文科系以上に人間観察が鋭い理科系の存在。私のつまらない固定観念をスパッと打ち破ってくださり、うれしく思いました。

 愛人と思われる二人の様子について、「男の方は一様に、周囲の目を気にするのかうつむき加減でぼそぼそ話すのに、女の方はたいてい堂々としている」という描写もあり、思わず吹き出してしまいました。

 これからも鋭く、深く、面白い文章を読ませていただきたいと、ご健康とご活躍を心から念願しました。

 

wrote by m-hamada : 2011年04月26日 21:36