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2011年04月26日火曜日

将棋の羽生善治さんの言葉

 「統計や確率は万能じゃない。だからこそ、本来人間がもつ野生の勘のようなものを磨くことを意識的にやった方がいいと思っているんです。それは、不慣れな環境にあえて行くことです。(略)勝手のわからないところに身を置くと、今まで眠っていた力が自然に出てくる。実践の対局でも、経験知の少ない局面であれば、そこでいろいろなものを手探りで見つけ出そうとして一生懸命にもがき、そのもがきが次につながる。誰だって、不慣れな環境は嫌だし、年を重ねれば、守りの姿勢にもなる。でも、大きなリスクは必要ないんです。何でもいいから、いつもとは違う小さなリスクや小さな変化を取り続ける。それが数年経った時には、以前の自分とはぜんぜん違う姿になっている。(略)将棋は理詰めだけでは絶対にうまくいかない。社会も完璧なものを求めるよりも、多少の欠点やおかしなところがあっても、それを認めて許容できるぐらいのルールや慣習があった方が暮らしやすい社会になるように思うんです」。
 棋士としてのタイトル獲得数が78期という、輝かしい業績を挙げている羽生善治さんの言葉です。ホームレスの支援を進めている雑誌「THE BIG ISSUE」の164号に、特別インタビューとして掲載されていました。
 慣れない環境に身を置き、変化し続けて野性の勘を磨こうという、勝負師の考え方に、不思議なものを感じました。
 進化を求め続ける向上心と、野性の勘を大切にする人間臭さの共存に、面白みを覚えました。

wrote by m-hamada : 2011年04月26日 18:53