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2015年09月10日木曜日

障がい者の雇用支援、手話通訳の育成などについて(代表質問)

 9月10日、川崎市議会本会議において、中原区選出の吉岡俊祐議員が、公明党の代表質問に立ち、20数項目のテーマについて質問しました。
 その中の、特に障がい者支援について報告します。
 
 障がい者雇用の充実を!

 障がい者の雇用について、本年4月には障害者雇用納付金制度の対象が従業員規模200人超から100人超へと拡大し、平成30年には精神障がい者の雇用義務化と法定雇用率の引き上げが予定されており、障がい者の働く環境は大きく変化しています。
 本市では昨年度から3日間の職場体験を行う障害者雇用短期チャレンジ事業及び就労体験ステップアップ事業がスタートしていることから、これまでの成果と今後の取り組みについて質問しました。
 
 市役所での採用を増やそう!
 
 市役所での職員採用について、身体障がい者には正規職員としての採用枠があり、知的障がい者には非常勤職員としての採用枠がありますが、精神障がい者にはありません。
 精神障がい者についても、テレワークによる勤務形態も含め採用枠を設けるべきと主張しました。
 
 情報バリアフリーを進めよう!
 
 来年4月に施行される障害者差別解消法では情報バリアフリーへ向けての合理的配慮が求められていることから、市役所が視覚障がい者に郵送する重要書類について、封筒に点字を表記することで重要書類であることを示すべきと質問しました。
 また、聴覚障がい者への情報提供に必要な手話についても、手話奉仕員の養成拡大へ向け、養成カリキュラム入門編の7区全てでの実施を目指すべきと要請しました。
 
 障がい者の見守りと成年後見について
 
 障がい者を対象とする成年後見では障害特性についての理解が必要です。
 横浜市では後見的支援制度という名称で、区ごとに障害福祉を専門とする社会福祉法人を運営主体として、また、神戸市では神戸市手をつなぐ育成会見守りTAI事業という名称で、障がい者の親の会である神戸市手をつなぐ育成会を運営主体として、それぞれ障がい者を対象とする見守りと成年後見の体制を強化しています。
 本市でも同じように障がい者の親の会などの力をかりながら、障がい者を対象とする見守りと成年後見の体制を強化すべきと質問しました。
 
 通所施設の延長対応について
 
 通所施設において時間外の延長対応をした場合には国からの加算措置がありますが、延長対応は緊急の場合となっているようです。
 恒常的な延長対応が可能となるように制度変更をするか、日中一時支援事業の拡充により障がい者の夕方支援を充実させるべきと主張しました。
 
 重度障がい者の医療費助成制度について
 
 精神障がい者の医療費助成については、地域移行を推進するという理由から入院医療費を対象外としていますが、一律に対象外とするのは実情に合っていないことから、見直しを検討すべきと求めました。
 
 障がい者関係の補助金や加算措置の通知について
 
 平成27年度の補助金や加算措置の通知が3月までになされず、4月に入ってからあり、しかも大幅な減額の通知で、事情説明も意見聴取もなく通知されたケースがあったことから、きちんと3月までに通知し、変更がある場合は事情説明と意見聴取をすべきと質問しました。
  
 
 総務局長の答弁
 
 総務局長は、障がい者の雇用について、「精神障害者の雇用につきましては、本市ノーマライゼーションプランや障害者雇用・就労促進行動計画等に基づき、チャレンジ雇用を含めた検討を進めているところでございます。これらの計画を踏まえながら、平成30年度の精神障害者雇用義務化を見据え、障害特性に即した雇用形態、適切な勤務形態や職務内容等について検討し、他都市や民間企業等の取り組み事例なども参考に、引き続き関係局と連携して取り組んでまいりたい」と答弁しました。
 
 健康福祉局長の答弁
 
 健康福祉局長は、就労体験ステップアップ事業について、「庁内の業務を活用して障害のある方の業務の適性や働く能力の評価を行うもので、第4庁舎や高津区役所の清掃のほか、多摩図書館の図書の整理において実施しております。昨年4月から本年8月末までに67名の方が参加しており、今後とも事業の検証を踏まえながら実習の場の拡大についても検討してまいりたい」と答えました。
 
 次に、障害者雇用短期チャレンジ事業について、「障害のある方の就労意欲の喚起に加え、企業側にも障害のある方とともに働くことを通じて障害者雇用への理解を深めていただくことを目的として、3日間の職場体験実習を行うものでございます。平成26年度は40名が市内23社の企業内雇用を体験し、うち3名の方が一般就労につながる成果を得たところでございます。今後につきましても、これまでの実施結果に基づき事業の継続を検討するとともに、この事業に参加した企業とのつながりを生かしてネットワーク化を図りながら、障害のある方の雇用に関する理解を広げていく取り組みを進めてまいります」と答弁しました。
 
 次に、情報バリアフリーについて、「本市における視覚障害者に対する情報バリアフリーの主な取り組みといたしましては、視覚障害者情報文化センターにおける点訳・音訳図書の貸し出しや、聴覚障害者情報文化センターにおける手話通訳者等の養成、派遣のほか、市政だよりにおける点字版、録音版の配付などを行っております。本市から視覚障害者へ郵送する書類につきましては、点字を読むことができる視覚障害者にとって点字による情報伝達は有効な手段であることから、公用封筒点字表記事業として、庁内各事業所からの個別依頼に基づき、公用封筒に差し出し課名を点字刻印しておりますが、今後、他都市の取り組み事例等を参考に、標準的な取り扱いについて関係局と検討してまいりたい」と答えました。
 
 次に、手話奉仕員の養成講座につきまして、「聴覚障害者情報文化センターの指定管理業務といたしまして、国で定めた初心者向けの入門課程35時間と日常会話が可能なレベルを目指す基礎課程45時間の計80時間で構成されたカリキュラムに基づき実施をしておりまして、入門課程につきましては毎年2つの区で開催し、4年間で7区全てを一巡するように実施しているところでございます。開催回数の拡充につきましては、会場、講師の確保などの課題もある中、障害者差別解消法や神奈川県手話言語条例が成立する等、情報保障のニーズがより高まっていくと予想されることから、聴覚障害者情報文化センターの平成28年度からの次期指定管理者の公募に当たり職員配置を拡充するなど、市内唯一の聴覚障害者情報提供施設として体制強化を図ったところでございます」と答えました。
 
 次に、障がい者の見守り支援について、「本市におきましては、日常生活に支援の必要な方に対して川崎市あんしんセンターに委託することにより日常生活自立支援事業を実施し、専門員が定期的に訪問し見守るとともに、金銭管理や福祉サービス全般の利用支援を行っております。また、判断能力が十分でない方に対しては成年後見制度にて財産管理や身上監護などの権利擁護を行うとともに、本市におきましては被後見人に対しての見守りや訪問による日常生活支援などを中心に行う市民後見人の養成に取り組んでいるところでございます。このようなサービスを利用していない障害のある方の地域見守りにつきましては、地域包括ケアシステム推進ビジョンの考え方に基づき、障害者の親の会やボランティアなどの地域資源を含めた役割分担と連携の仕組みづくりについて今後検討してまいりたい」と約束しました。
 
 次に、通所施設の延長対応等について、「障害者本人や御家族の状況等により夕方の支援ニーズは多様であるため、1つの事業で対応することは困難であり、通所施設での延長対応や障害児者日中一時支援事業、ホームヘルプ等の複数のサービスを組み合わせて対応することが現実的であることから、個々の事業の拡充とあわせて、活用可能な複数のサービスをコーディネートして個々に合ったケアプランを提案する相談支援事業の充実に取り組んでいるところでございます。今後につきましては、現在、夕方支援に係るニーズの実態や事業者の実施状況等を把握するため、障害のある方を日常的に支援している市内の生活介護事業所58カ所及び障害者相談支援センター28カ所に対してアンケート調査を実施し、結果を分析しながら必要な検討を行ってまいりたい」と答えました。
 
 次に、重度障害者医療費助成制度について、「神奈川県の全額補助事業として開始されましたが、精神障害者につきましては、社会的入院を防ぎ、地域移行を推進することを目的として、平成25年10月から精神障害者保健福祉手帳1級所持者について入院を除く医療費を対象としたところでございまして、本市におきましても同年10月に拡大したところでございます。入院医療費につきましては、県の基準上、精神疾患の入院費用は入院医療援護金交付事業により給付を行っていること、また、県内市町村の財政負担の課題を勘案して、診療科にかかわらず対象外としたもので、本市におきましても同じ基準としたところでございます。この制度は、対象者が増加していることや、県の補助率の段階的な引き下げなどに伴い、市の負担が年々増加しておりますので、今後につきましては県の動向や他都市の状況等を踏まえながら、制度の安定性、継続性の確保についてさらなる検討を進めてまいりたい」と答弁しました。
 
 次に、市単独加算等の変更について、「平成27年度の給付費に係る市単独加算の見直しに際しましては、平成27年1月中旬に障害福祉施設事業協会の施設長会におきまして見直しの方向性を御説明するとともに、2月上旬の予算案公表後に同協会宛て見直し内容について御説明させていただきました。その後、4月には国から報酬の請求に必要な詳細情報が示された後、全施設に対し速やかに市加算の請求に関する情報等について通知したところでございます。今後につきましては、補助金や市単独加算の変更等に際し、より一層関係者への事前説明や意見交換などを行うとともに、個々の事業所に着実に伝わるよう丁寧に対応してまいります」と約束しました。
 
 

wrote by m-hamada : 2015年09月10日 21:00