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2010年03月23日火曜日

慶應義塾大学卒業式での清家篤・塾長の言葉

 「福澤先生は,智恵と徳義の二つを,さらに公と私,すなわち公(おおやけ)と私(わたくし)に分かち,公智,公徳,私智,私徳という四つの要素にして説明を加えておられます。このうち私徳というのは,謙虚であるとか,律儀であるといった人の心のうちの徳義をいい,私智というのは,理論をよく理解しそれを応用するまでの智恵を指します。これに対してさらに重要なのは公の部分で,例えば公徳というのは,公平であるとか,勇敢であるといった,社会の中で発揮される徳義のことを指します。
 そして中でも福澤先生が最も重要とされたのが公智です。物事の軽重を正しく見極め,重いものを先に,軽いものを後に行う判断力です。理論を理解し応用するといったことが工夫の小智であるとすれば,これは聡明の大智であると,言っておられます。
 皆さんにはこうした自分の頭で考える力をもって,まずしっかりと仕事をし,自らの生活を営んでいってほしいと思います。人に頼らず,自らの能力を活かして収入を得て,独立した個人として生き,独立した家計を営むということで,これは福澤先生の言葉を借りれば一身独立ということになると思います。
 その上で,そうした仕事や,あるいは社会的な活動などを通じて,少しでも日本や世界をもっとよい社会にすることに貢献する,という意識をもっていただきたいと思います。」

 卒業して25年目に当たることから、卒業式に招待していただいたのですが、25年前にも同じように素晴らしい式辞を伺っていたのでしょうから、もっとしっかり胸に刻んでおくべきだったと思ったり、卒業から25年の時を経た今だからこそ心に刺さるのだろうなどと思いながら、ありがたく拝聴しました。
 いずれにしても、卒業から25年目に卒業式にご招待いただけるとは、実にいい制度だなあと感じました。

wrote by m-hamada : 2010年03月23日 18:14