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2010年04月30日金曜日

神野(じんの)直彦著『人間回復の経済学』に登場する言葉

 「神の見えざる手に経済システムをゆだねずに、人間が人為的に介入すれば、神の逆鱗にふれ、自然秩序は混乱する、と経済学者は主張する。そうすれば、自分は神のお告げを伝導する巫女のごとくにふるまえるからである。(中略)しかし、人間は経済人ではない。人間は知恵のある人であることを忘れてはならない。人間の未来を神の見えざる手にゆだねるのではなく、知恵のある人としての人間が、人間のめざす未来を創造しなければならない」(P.186~187) 
 現代社会の一面を強く憂える気持ちと、人間の知恵と努力で未来を創造しようという情熱が感じられ、素晴らしい経済学者だと思いました。
 他にも深い思索を重ねられたと思われる言葉があり、感動しました。

 「人間が人間社会をつくりだそうとする不断の努力、それが人間の歴史にほかならない。」(P.iv「はじめに」より)
 「人間は人間の未来である。」(P.iv「はじめに」より、「フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルがいつも口ずさんでいた詩人フランシス・ポンジュは、つぎのように歌っている」として紹介された言葉)
 「人間は、人間の社会そして人間の経済の創造主であることを前提にして、人間は自己の本来の創造主になることができる。経済人は人間の行動基準にはなりえない。人間の行動の基準は、あくまでも人間の夢と希望なのである」(P.17)
 「これまでの工業社会では、生産機能を集結させれば、人間が集住してきた。つまり、生産機能が生活機能の磁場となっていた。しかし、知識社会では生活機能が生産機能の磁場となる。つまり、都市再生の条件は、都市を人間生活空間として再生することなのである」(P.181)
 「16世紀フランスの国家学者ボダンは、『人間こそ唯一の富である』という格言を残している。人間との出会いは、人間に思わぬ力を奮い立たせる」(P.193「あとがき」より)

wrote by m-hamada : 2010年04月30日 10:32