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2012年10月25日木曜日

元朝日新聞編集委員・早野透さんの言葉

 「いま、日本政治を見ると、国家像を見失い、技術主義に陥り、ポピュリズムが跋扈する。そんな平成の世に、新聞記者が至近距離で見て聞いた、『わたしの田中角栄』を、吐き出しておきたい。『歴史の狡智』としての田中角栄を通して、日本政治の苦悶の過程を見てもらい、これからの日本に、人々がいたわりあえる、真の民主主義を実らせていくことができればと願っている。」

 早野透さんの著書、『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(中央公論新社)のあとがきに書かれている言葉です。

 日本政治の長い歴史を誠実かつ熱心に観察されてきたことがわかり、「歴史の狡智」と「苦悶の過程」との表現に思索に思索を重ねられた哲学者の姿が感じられ、心に残りました。

 あとがきには、また、「『闇将軍』として政局にかかわる話はさすがに、縦横である。だが、それだけではない。政治とは何か、政治は何のためにあるのか、裏も表も含めてナマの表現で感じさせてくれることがある。あるいは記者という存在に聞かせておきたいと思ったかもしれない。」ともありました。
 政治家と記者との濃密な時間が描かれた、一幅の名画のように思われ、感動しました。

 本文中に書かれていた
「さすがに中曽根は角栄とわたりあってひけをとらない政治家の力量を持っていた。『政治は人間交響楽である。政治とは、いかに内閣をつくり、また内閣を倒すかということに帰着する。権力の攻防はすさまじいものがある』という政治観を持つ中曽根は、・・・」
という箇所も、高圧電流のようなものが感じられ、胸に響きました。

 早野透さんに尊敬の念を持つとともに、「人々がいたわりあえる、真の民主主義」が実っていくように心から念願し続けていきたいと思いました。

 
 

wrote by m-hamada : 2012年10月25日 19:33