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2014年12月30日火曜日

宮城谷昌光さんの言葉

 「文学の道に迷った若いころに戻りたいとは思わない。結婚後も苦しい時期が長く続きましたが、文学や芸術など浮世離れした私の話に合わせてくれる妻の助けがなければ、私はこの道を進めてこなかった。妻には『あなたにあわなければ、宮城谷昌光という作家は、どこかの路傍の石になっていた』とよくいうのです」。

 読売新聞に11月24日から12月30日まで連載された、「時代の証言者 宮城谷昌光」の最終回(12月30日付)で紹介された言葉です。
 心の中で思うだけではなく、奥様に口に出して言えるということ、しかも「よくいう」とありますので、何回も言っていらっしゃるということは、素晴らしいご主人だなと感じ、心に残りました。

 連載の第15回では、奥様とのお見合いの様子が書かれていました。
 「『ここまで生きてきて、何かいいこと、楽しいことがありましたか』と私が聞くと、すぐに『何もないです』と答えたのが特に気に入った。私も全く同じだったから。本音をいきなりいう、嘘(うそ)を言わない人だとわかって安心しました」とあり、奥様もご主人もともにまぶしいほど正直な人だと感動しました。

 第13回には、師と仰ぐ立原正秋さんとのことが描かれていました。
 「中途半端に世に出てはいけない。そうやって散ったり沈んだりした作家を自分は多く見ている。基礎だけはきちんとしてから作家として立ちなさい」と教えられたということ、「よい作品であれば、立原さん自身が文芸誌の編集部へ持ってゆく」とおっしゃられていたと聞き、「弟子の将来を考えた優しさに感動しました」とありました。
 映画の名場面を見させていただいたように胸が熱くなりました。

 ご著作をしっかり読んで、もっとこの世界を味わいたいと思いました。

 

wrote by m-hamada : 2014年12月30日 21:04